SNSで流れてくる華やかな「購入品紹介」や、次々と新しいモノに手を出す消費文化に、少し疲れていませんか?
本当に大切なのは、モノの「量」ではなく、ひとつひとつへの「愛着」ではないでしょうか。
今、海外のZ世代を中心に、そんな「過剰な消費文化」に静かに異議を唱える新しいムーブメントが広がりを見せています。それが「Underconsumption Core(アンダーコンサンプション・コア)」です。
このムーブメントは、「使い切るまで、買わない」というシンプルな哲学を掲げ、今あるモノを大切にし、必要最小限で豊かに暮らすライフスタイルを積極的にシェアする動きです。
単なる節約やミニマリズムとは異なり、経済的な現実と環境への意識を背景に、「愛着」と「現実」をポジティブに捉え直す新しい時代の価値観として注目されています。
本記事では、Underconsumption Coreがなぜ今、世界中で共感を呼んでいるのか、そして私たち日本人にとって、どんなヒントをくれるのかを、最新のリサーチを交えて深掘りしていきます。
目次
なぜ今、「Underconsumption Core」が流行しているの?
Underconsumption Coreは、2024年に入ってからTikTokを中心に4,600万回以上再生されるほどの大きなムーブメントになりました(出典:CNNなど)。
このトレンドがこれほどまでに人々の心をつかんだ背景には、いくつかの社会的な要因が複雑に絡み合っています。
経済的な現実と向き合う若者たち
まず、無視できないのが経済的な現実です。
世界的に物価が高騰し、生活費がどんどん上がっている今、特に若い世代にとって、以前のように次々と新しいモノを買うのは難しくなっています。パンデミック中に貯めた貯金も底をつき始め、誰もが財布の紐を締めざるを得ない状況です。
Underconsumption Coreは、そんな「節約しなきゃいけない現実」を、ネガティブに捉えるのではなく、むしろポジティブで、ちょっとおしゃれなライフスタイルとして再定義してくれました。
あるクリエイターが言ったように、これは「中流階級の生活をロマンティックに描くこと」なんです。
豪華な生活を見せびらかすのではなく、堅実で現実的な暮らしを、自信を持ってシェアする。
この正直さが、多くの共感を呼んでいるんですね。
「インフルエンサー文化」への静かな反動

次に、SNSが生み出した過剰消費文化への反動があります。
数年前まで主流だったのは、大量のモノを買い、それを開封し、紹介する「ハウル動画」でした。
私たちも、誰かの「おすすめ」に乗せられて、結局使わなかったモノをクローゼットの奥にしまい込んだ経験、きっとありますよね。
Underconsumption Coreは、そんな「買え買え」というメッセージに疲れた人々にとって、「買わなくていいんだよ」「今あるもので十分だよ」と優しく語りかけてくれる存在です。
これは、インフルエンサーが推奨する消費行動から距離を置こうとする「デインフルエンシング(脱インフルエンサー)」の流れとも通じています。誰かの価値観ではなく、自分の「本当に必要か」という感覚を大切にする。そんな自立した消費行動を求める声が、トレンドを後押ししているのです。
環境への意識の高まり
そして、サステナビリティ(持続可能性)への意識も、この動きを加速させています。
ファストファッションや使い捨ての文化が、地球環境に大きな負荷をかけていることは、もう誰もが知っています。特に若い世代は、この問題に非常に敏感です。
環境に配慮した選択
- 「使い捨て」ではなく「修理」を選ぶ
- 「新しい」ものではなく「リサイクル」されたものを選ぶ
- 「量」ではなく「品質」を選ぶ
Underconsumption Coreは、こうした環境に配慮した選択を、「我慢」ではなく「かっこいい」こととして捉え直すきっかけを与えてくれました。環境にもお財布にも優しい、一石二鳥の考え方なんですね。
「Underconsumption Core」って、具体的にどんな暮らし?
では、Underconsumption Coreを実践している人たちは、具体的にどんな投稿をしているのでしょうか?
彼らの投稿に共通するのは、「モノの寿命を最大限に引き延ばし、その過程を楽しむ」という姿勢です。
長く使い込まれた「相棒」を愛でる
Underconsumption Coreの投稿でよく見かけるのが、使い込まれた日用品です。
何年も使って傷だらけになったスーツケース、親から受け継いだ少し色褪せたタオル、底がすり減っても修理して履き続ける靴。
これらは、「新しいモノにすぐ飛びつかない」という彼らの哲学を象徴しています。
私自身、長年愛用している革の財布があるのですが、色が変わるたびにますます愛着が湧いています。
Underconsumption Coreは、まさにそんな「モノを単なる道具ではなく、人生の相棒として捉える」感覚を大切にしています。
コスメや日用品は「底見え」するまで使い切る
コスメやスキンケア用品の分野では、「#底見えコスメ」や「#使い切りチャレンジ」といった投稿が人気です。
使い切り文化の実践例
- 最後の一滴まで絞り出した化粧品のボトル
- パウダーの底がくっきりと見えているアイシャドウパレット
- 詰め替え用を賢く活用するルーティン
これらは、「本当に良いものだけを厳選し、最後まで使い切る」という強い意志の表れです。
特に、詰め替え文化はUnderconsumption Coreと非常に親和性が高いです。
最近は、ハイブランドのコスメや香水でもレフィル(詰め替え)が充実してきており、消費者は「容器という資源」を大切にしながら、「中身という体験」を長く楽しむことができるようになりました。
詰め替え・レフィルが充実しているブランド例
- 無印良品 シンプルなデザインで、多くの商品に詰め替え用や大容量サイズを用意。
- シャネル 一部のファンデーションや香水で、エレガントな容器を再利用できるレフィルを提供。
- 資生堂 エリクシールなど、主力商品の多くで環境に配慮した詰め替えパウチを展開。
- MARKS&WEB ソープやシャンプーの詰め替え用が豊富。容器もシンプルで長く使えるデザイン。
「カプセルワードローブ」でファッションを楽しむ

ファッションにおけるUnderconsumption Coreの代表例が、「カプセルワードローブ(Capsule Wardrobe)」です。
これは、シーズンや目的に合わせて、厳選した少数のアイテム(例えば、トップス10着、ボトムス5着、アウター3着など)だけで着回しをするという考え方です。
アイテムの数が少ないからこそ、一つ一つを「本当に気に入った、長く着られる高品質なもの」にすることができます。
カプセルワードローブの3つの基本
- 「流行」よりも「タイムレスなデザイン」
- 「安さ」よりも「耐久性」
- 「量」よりも「組み合わせの幅」
これは、毎朝「何を着よう…」と悩む時間を減らし、本当に好きな服に囲まれることで、心の満足度を上げるという、まさに「買わない贅沢」を体現したスタイルと言えるでしょう。
日本の「もったいない」精神との素敵な共通点
このUnderconsumption Coreの考え方を聞いて、私たちがどこか懐かしさや共感を覚えるのは、きっと日本の文化と深く結びついているからかもしれません。
それは、「もったいない」という言葉に象徴される精神です。
日本の「もったいない」精神の3つの要素
- モノを粗末にしない
- まだ使えるものは最後まで使い切る
- 修理してでも長く使い続ける
これは、Underconsumption Coreが掲げる「モノを大切にする姿勢」そのものです。
また、「侘び寂び(わびさび)」という美意識も共通しています。新品のピカピカな状態よりも、使い込まれて風合いが増した状態、つまり「経年変化」の中に美しさを見出す感覚です。
断捨離やこんまりメソッドといった「日本のミニマリズム」が世界的に注目されたように、Underconsumption Coreは、私たちが古くから大切にしてきた「必要最小限で豊かに暮らす美意識」が、SNS時代に合わせて形を変えて、再び世界に広がり始めた現象とも言えるでしょう。
企業も注目!「買わない」トレンドへの新しい戦略
「買わない」ことを推奨するトレンドは、一見すると企業にとっては脅威に見えますよね。でも、賢い企業はこれを「新しい価値提供のチャンス」と捉え始めています。
「耐久性」や「修理可能性」が新しい価値に
Underconsumption Coreのユーザーは、「買わない」のではなく、「本当に良いものを長く使うために買う」層です。彼らは、安価な使い捨ての商品よりも、多少高くても耐久性や品質に優れている商品を選びます。
例えば、スーツケースメーカーのサムソナイトは、何百回ものフライトに耐え、ボロボロになっても現役で使われている自社製品の動画をTikTokに投稿し、大きな話題になりました。
「何年も持続するように作られています」というメッセージは、まさにこのトレンドの消費者の心に響く、最高のPRになりました。 これからの企業は、単に「新しさ」や「トレンド」を追いかけるのではなく、「修理サービス」の充実や、「世代を超えて使えるタイムレスなデザイン」を追求することが、新しい顧客層を獲得する鍵になるでしょう。
詰め替え文化の進化
先ほども触れましたが、コスメや日用品メーカーは、レフィル(詰め替え)のラインナップを強化しています。
これは、単なるコスト削減ではなく、「この容器は長く使う価値がある」というブランドのメッセージを体現するものです。
さらに、最近では、「中身だけを量り売りする」店舗やサービスも増えてきました。シャンプーや洗剤、ナッツやドライフルーツなどを、自分の持参した容器に入れて購入する。これは、モノの「所有」ではなく「利用」に価値を置く、Underconsumption Coreの精神に寄り添う新しい消費の形です。
私たちが今日からできる「Underconsumption Core」な一歩
Underconsumption Coreは、誰かに強制されるものではありません。それは、「自分にとっての本当の豊かさ」を問い直す、個人的で心地よいチャレンジです。
最後に、私たちが今日から始められる、Underconsumption Coreな一歩をご紹介します。
まずは「使い切るリスト」を作ってみる
クローゼットや引き出しの中に、「買ったけど、まだ使い切っていないモノ」はありませんか?
家にある「使い切りたいモノ」リスト例
- 使いかけの化粧水
- あと少し残っているキャンドル
- 一度しか着ていない服
- 半分残っている調味料
これらをリストアップし、「新しいモノを買う前に、このリストのどれか一つを使い切る」というマイルールを決めてみましょう。
これは、「消費のサイクル」を「愛用のサイクル」に変えるための、とてもシンプルで効果的なトレーニングになります。使い切った時の達成感は、新しいモノを買った時の興奮よりも、ずっと長く心に残るはずです。
「本当に良いもの」を見極める目を持つ
Underconsumption Coreは、「何も買わない」ということではありません。
本当に必要な時には、「長く使える最高のモノ」を買うことを推奨しています。
例えば、毎日使うマグカップ。安価なものを毎年買い替えるのではなく、少し奮発してでも、手触りやデザイン、耐久性に優れた「一生モノ」を選んでみる。
その一つを選ぶために、じっくりとリサーチし、お店で手に取り、「これを何十年も使う自分」を想像してみる。この「選ぶ時間」こそが、モノへの愛着を深める第一歩になります。
Underconsumption Coreが教えてくれること
私たちが選ぶ一つ一つのモノが、私たちの暮らしを形作っています。Underconsumption Coreは、モノの「量」に縛られることなく、「愛着の深さ」で満たされる、そんな新しい豊かさを教えてくれる素敵なトレンドです。
あなたも今日から、「買わない贅沢」を始めてみませんか? きっと、あなたの日常が、もっと愛おしく、満たされたものになるはずです。